日本を訪れる人の多くは東京と京都から出ないまま帰ります。私もしばらくはそうでした。田舎へ向かう各駅停車の列車に乗るようになるまで、何度か旅を重ねる必要がありました。正直なところ、私にとって日本の魅力が広がったのは、まさにそのときです。村や山あいの温泉、英語を話す人が誰もいない小さな駅、そして午後5時に最終バスが出てしまう場所。どんな都市のチェックリストよりも、そんな日のことをよく覚えています。
それに、田舎といっても、どこも同じというわけではありません。北の北海道には火山湖があり、世界中から人々が訪れるパウダースノーがあります。日本アルプスでは、高山の江戸時代の町並みが残る通りを歩き、白川郷の茅葺き屋根の家々を目の前にしました。絵はがきそのものですが、思った以上に静かな場所です。山々を巡る拠点をお探しなら、私たちの松本3日間の旅程はこのエリアと組み合わせやすく、立山黒部アルペンルートはアルプスを越える方法のなかでも、特にドラマチックなルートです。本州の西海岸には本物の砂丘や静かな漁師町があり、さらに南の沖縄の離島へ行くと、ターコイズブルーの海が広がり、本土とは大きく異なる文化に出会えます。それぞれの場所については、個別のガイドで詳しく紹介しています。記事を進めながらリンクを載せていくので、気になる場所を見つけたら、ぜひ詳しい情報を読んでみてください。
そして、ここが大事なところです。こうした旅をする人はほとんどいません。多くの旅行者が田舎をまるごと素通りします。だからこそ、景色が変わってしまう前の今、訪れる価値があります。
このガイドは、旅を始めたころの私が欲しかった全体ガイドです。本当に足を運ぶ価値があると思う田舎の旅先、車がないときの移動方法(私たちは毎回、車なしでした)、宿泊先、食べるもの、地域ごとにおすすめの季節を紹介します。東京から日帰りで田舎へ出かけたい方も、田舎を巡る2週間の旅を計画している方も、まずはこのガイドを地図代わりに使い、各地の詳しいガイドへのリンクもたどってみてください。
日本の田舎を訪れる理由
実際に日本の田舎まで足を運んだ人に会うと、ほとんどの人が帰ってから同じことを言います。旅全体で一番よかったのは田舎だった、と。午後だけで済ませるのではなく、旅程にしっかり時間を取ってほしいと思う理由を紹介します。
文化は見せ物ではなく、今も人々の暮らしのなかにあります。田舎の工芸や祭り、小さな神社での儀式は、観光客のために演じられているのではなく、ただ人々が日々行っていることです。高山を訪れた朝、店が開く前に歩いていると、何世代にもわたって家族で営んできたのだろう酒蔵の玄関先を、年配の男性が掃いていました。作られた光景という感じはしませんでした。高山、会津若松、遠野のような町には江戸時代の面影が残っています。その点では、どれほど有名でも、今の京都ではほとんど見られなくなったものです。
季節が変われば、旅の表情も変わります。私たちは春、日本アルプスで棚田に桜が垂れかかる景色を眺め、秋には同じ場所を訪れて、谷全体が赤や金色に染まるのを見ました。夏になると山にはハイキングコースやホタルが広がり、冬には白川郷のような村が何メートルもの雪に覆われ、本当に絵に描かれたような景色になります。ひとつだけ選ぶなら、山々の秋をおすすめします。
食の魅力は、その土地でこそ味わえます。ここは、行く前には想像できていなかったことです。高山で食べた飛騨牛は、小さな朴葉の上で味噌と一緒に焼いたもので、東京で食べたどんな料理よりもおいしく、地域の外ではほとんど味わえません。鳥取の海岸で食べたカニも、長野のそばも、四国の柑橘も同じです。田舎の食は土地に根差していて、日本でも指折りのおいしさです。
都市部よりずっと手頃に泊まれます。これがいちばん意外でした。箱根なら1泊4万円ほどする旅館が、山奥では1万5,000円未満で見つかりました。夕食と朝食が付くこともよくあります。東京や京都が人でいっぱいだったゴールデンウィークでさえ、私たちが訪れた場所は静かでした。
心から歓迎されていると感じます。このあたりでは観光がまだ比較的新しく、その違いを感じられます。日本ならではの心を込めたおもてなしも、決まり文句を繰り返すフロントではなく、ゲストハウスのオーナーが手書きで地図を描いてくれると、また違った印象です。行き先を指さして教えてくれるだけでなく、途中まで一緒に歩いてくれた人も何度かいました。
今、日本の田舎は旅しやすい?
田舎へのアクセスも、以前よりずっと便利になりました。ここ数年で、多くの地方に英語の案内表示や観光案内所が整備され、訪日旅行者向けの鉄道パスも登場しています。以前は車が必要だった地域のいくつかも、季節運行のバスや観光列車で行けるようになりました。アルプス地方に便利なパスや乗り継ぎは、鳥取や九州で使えるものとは違うため、各目的地に合ったパスやアクセス方法は、この後のセクションで詳しく紹介します。車を使わず観光交通だけでどこまで行けるか知りたいなら、立山黒部アルペンルートのガイドが参考になります。
日本で訪れたい、まだあまり知られていない田舎の旅先
日本の田舎を紹介する記事では、高山、箱根、白川郷というおなじみの3か所が繰り返し取り上げられます。どこも訪れる価値があり、旅の出発点としてこの3か所を考えているなら、高山、白川郷、箱根の詳しいガイドも書いています。ただ、今ではどこも隠れた場所とは言えません。まだ本当に知られざる場所を訪れたいなら、2度目の日本旅行におすすめしたい田舎の一角をご紹介します。どれも、私たちが実際に時間をかけて巡った場所です。
長野の高原地帯。有名な宿場町だけでなく、長野には何度も足を運んでいます。長野の旅程ガイドでこの地域を詳しく紹介しています。ひとつだけ体験するなら、地獄谷のスノーモンキーをぜひ。雪が降るなか、湯気の立つ温泉に浸かる野生のニホンザルを見られます。聞いたとおり、奇妙で素晴らしい光景です。
会津若松(福島県)。外国人旅行者の多くが訪れることのない城下町です。大都市では失われてしまった侍の歴史が、今も色濃く残っています。急ぎ足で立ち寄るだけではもったいない場所なので、会津3日間の旅程をまとめました。
山陰海岸の鳥取。日本には本物の砂丘があり、欧米からの旅行者はほとんどここまで足を延ばしません。詳しくは鳥取ガイドをご覧ください。要点をまとめると、ダイナミックな海岸線、新鮮なカニ、そしてゴールデンルートのどこよりもずっと少ない人混みです。
九州の田園地帯。南の島には、火山と温泉街が広がる独自の世界があります。私たちが実際にたどったルートは九州の田舎旅の旅程で紹介しています。別府の温泉だけでも、南へ飛ぶ価値があります。
アートの島、直島。伝統的な意味での村ではありませんが、東京から遠く離れた気分になれる場所です。漁村に囲まれた島全体が、現代美術の美術館や作品で彩られています。詳しくは直島ガイドをご覧ください。
日本の田舎を訪れる前に知っておきたいこと
田舎では東京より少し準備が必要です。知っておきたい実用的な情報を、率直にお伝えします。
大都市を離れると、英語はあっという間に通じにくくなります。案内表示やメニュー、列車の時刻表は日本語のみの場合が多く、地方では日常会話レベルの英語を話せるスタッフもあまりいません。それでも、十分に旅を楽しめます。Google翻訳のカメラ機能を使えば、ほとんどの案内表示やメニューをすぐに読み取れます。私たちも何度も助けられました。よく似たバスが2台あり、どちらが村へ行くのか調べたこともあります。宿を出発する前に、その地域のオフラインマップをダウンロードしておけば、道案内に関する不安はほとんどなくなります。
交通手段はしっかり計画する必要があります。ここが一番大切です。1日に数本しか走らない路線バスでしか行けない場所もあり、最終バスを逃すと本当に身動きが取れなくなります。宿泊先を予約する前に、公共交通機関が安定しているか、レンタカーを借りたほうがよいかを確認しましょう。地域によって状況は大きく異なります。記事の後半にある交通手段のセクションでは、具体的な移動方法やパス、車を借りる価値がある場所について詳しくまとめています。
今でも現金が頼りです。地方のレストランや民宿、寺院には現金しか使えないところがたくさんあり、私たちも何度か困ったことがあります。山あいに入るほどATMは少なくなり、どのATMでも海外発行のカードが使えるとは限りません。今では、必要だと思う額より多めに、最寄りの街にある最後のコンビニかセブン-イレブンで現金を引き出すようにしています。セブン銀行ATMは海外発行カードに対応していることが多く、山に入るとすぐ見つからなくなるからです。
車があってもなくても、日本の地方を移動する方法
ここが、つまずきやすいところです。日本の鉄道網は評判どおり素晴らしいですが、その評判を支えているのは大都市間の路線です。地方では事情が変わります。交通手段の計画を誤ると、旅の1日を失うことになりかねません。
JRパスは、以前のように何も考えずに選べるものではありません。数年前の大幅な値上げ以降、かなり長距離を移動する場合に限ってお得になるので、購入前に個別の切符と料金を比べてみてください。このガイドでさらに大事なのは、地方で実際に利用する路線の多くがJRではないことです。高野山へ向かう南海線、スノーモンキーを見に行く長野電鉄、立山へ向かう富山地方鉄道、河口湖へ向かう富士急行、猫の駅長がいる和歌山電鐵は、どれも対象外です。松本へ向かう特急あずさも、全区間が対象になるわけではありません。パスで行けると思い込まず、利用するルートを路線ごとに確認しましょう。新幹線の予約が初めてなら、新幹線の切符の予約方法で手順を紹介しています。また、長距離移動では新幹線と飛行機の比較も参考になります。
全国版より、地域限定パスのほうがお得なことが多いです。地方を旅するなら、ほとんどの場合、エリア限定のパスのほうが割安です。箱根フリーパスなら、ロープウェイやバス、遊覧船、ローカル線を1枚の切符で利用できます。アルプス、関西、九州にも同様のパスがあります。利用できる中でいちばん大きなパスではなく、実際に行く場所に合ったものを選びましょう。
バス移動になる場所では、時刻表を中心に計画を立てましょう。白川郷、上高地、熊野古道の登山口へは、バスでしか行けません。地方のバスは1日に数本しかないことが多く、場所によっては、帰りの最終便が午後の早い時間に出てしまいます。到着したらバス停の時刻表を写真に撮っておきましょう。あとで調べようとしても、電波が届かないことがあります。必要以上に感じるくらい、余裕を持った計画にしておくのがおすすめです。
車を借りたほうがいい場所もあります。公共交通機関では見どころまで行けない地域もあります。特にわかりやすいのは九州で、富士五湖、鳥取の海岸沿い、熊野古道の小さな登山口も同様です。そうした場所へ行くなら、レンタカーを借りましょう。出発前に、居住国で発行された国際運転免許証が必要です。また、日本での運転には意外な注意点もあるので、実用的な情報を日本でレンタカーを借りる方法にまとめました。
面倒を大きく減らしてくれる、小さな工夫が2つあります。地方でも、Suica、PASMO、ICOCAなどのICカードを用意しておきましょう。今では地方のバスでも使えるところが多く、小銭をぴったり用意する手間が省けます。それから、荷物を次の街のホテルへ送る宅急便も活用しましょう。スーツケースを地方のバスに持ち込んだり、村の小道を引いて歩いたりするのは大変です。荷物の配送は通常、1個あたり約2,000円です。
日本の田舎で泊まる場所
宿泊先を比べると、料金も体験も、田舎は都会よりずっと魅力的です。東京の宿泊料金のほんの一部で泊まれるうえ、宿そのものが単なる寝場所ではなく、旅の一部になります。知っておきたい宿泊施設は、次の4種類です。
旅館。伝統的な宿で、少なくとも一度は奮発して泊まりたいところです。畳の部屋に、夕食のあいだに敷いてもらえる布団、館内で着られる浴衣、そして多くの場合は併設の温泉があります。料金は通常1人あたりで、夕食と朝食が含まれています。手の込んだ食事が2食付いていると気づくまでは、表示価格が高く見えるかもしれません。箱根なら1泊4万円する旅館も、山深く入れば1万5,000円以下で見つかることがあります。詳しくは温泉と旅館のガイドにまとめました。上質な旅館の雰囲気を知りたい方は、Ueyama Ryokanでの滞在記もご覧ください。夕食はたいてい、季節の食材を使った多彩な料理を味わう会席料理です。それ自体が特別な体験で、会席料理とは何かについても別の記事で解説しています。
民宿や農家民宿。家族経営の宿で、部屋はよりシンプルですが、手料理を味わえ、宿を営む人たちとずっと身近に過ごせます。白川郷では、日帰りバスが出たあとも合掌造りの民家に泊まるのが、村でできるいちばんの体験です。旅館より安く、思い出に残る夜になることもよくあります。
宿坊。宿坊の多くは高野山にあり、100を超える寺院が宿泊客を受け入れています。今も使われている寺院に泊まり、精進料理を味わい、朝のお勤めに参加することもできます。豪華ではなく、壁も薄いですが、1,200年にわたって続いてきた宗教共同体の中で眠る体験は、ほかでは再現できません。
ビジネスホテル。華やかさはありませんが、本当に頼りになります。小さくて清潔、安価で安心でき、田舎町では当日予約できる唯一の選択肢ということもよくあります。予約する前に、日本のホテルのランク付けについて知っておくと役立ちます。星の数の仕組みは、思っているものとは違うからです。
実用的な注意点を2つ。都会の宿より早めに予約しましょう。田舎の宿は規模が小さく、部屋数が全部で6室か8室ということもあります。紅葉の時期、ゴールデンウィーク、白川郷のライトアップ開催日は、数か月前から予約で埋まります。また、初めて温泉に入る前に、温泉のマナーを確認しておきましょう。ルールは厳しく、間違えると誰にとっても気まずい思いをします。タトゥーがある方は、宿の方針も事前に確認してください。今も多くの温泉でタトゥーが問題になる一方、田舎の宿は比較的寛容なことも多く、貸切風呂なら手軽に解決できます。
日本の田舎で食べたいもの
田舎の料理は土地に深く根ざしていて、街を離れていちばん驚いたのも、まさにそのことでした。ここで食べるものの多くは、持ち運べないわけではなく、地域の人たちが誇りを持っていて、作られた場所で食べるのがいちばんだからこそ、ほかの土地にはあまり出回りません。全国の基本的な料理については、こちらの日本食ガイドで紹介しています。ここでは、地域ごとに食事の目的にしたいものを見ていきましょう。
アルプス地方:飛騨牛とそば。高山の飛騨牛がこの地域の目玉です。岐阜の山あいで育つ和牛で、屋台の串焼きや牛肉のにぎり、旅館で味わう本格的な鉄板焼きのコースなどで楽しめます。神戸牛以外では日本屈指の牛肉と評されていて、神戸牛の名前は頻繁に偽装されていることも知っておきたいところです。飛騨牛のような地域の和牛のほうが安心でき、味も上回ることがよくあります。長野はそばの産地。高原で育ったそばを、夏には冷たいつゆにつけていただきます。
日本海沿岸:カニと海の幸。鳥取や富山では冬がカニの季節で、日本でもとりわけおいしい海の幸を味わえます。特に富山湾は、日本各地の中でも最高級の漁場のひとつとして日本の料理人に評価されています。シロエビやホタルイカ、ブリが水揚げされ、海辺の食堂では朝獲れの魚介を東京よりずっと手頃な価格で楽しめます。
北海道:ラム肉と乳製品。北の大地には、日本のほかの地域では味わえないものがあります。チンギスカンは、ジンギスカンにちなんで名づけられたラム肉の焼き肉で、札幌の定番料理です。日本で特に気に入った料理のひとつで、札幌のジンギスカンの記事でも紹介しました。2月には、日本最大の冬祭りであるさっぽろ雪まつりも開催されます。
四国:うどん。香川はうどん県で、ここの麺はほかの地域で食べるものとはひと味違います。高知でうどん作りの料理教室に参加しましたが、正直なところ、日本の田舎で体験したことのなかでも最高のひとつでした。そう、ラーメン派だった私たちもうどん派になりました。
九州と沖縄:個性豊かな郷土料理。九州では豚肉や風味の強い料理がよく食べられます。福岡には、本当に珍しいものを試してみたいならシロウオの伝統料理があります。沖縄の料理は本土とはほとんど重なりません。ゴーヤーチャンプルー、苦いゴーヤーの炒め物、豚バラ肉を煮込んだラフテー、そして沖縄だけで造られる米の蒸留酒、泡盛などがあります。
旅館の夕食。旅館に泊まるなら、どこであっても夕食はたいてい会席料理です。その土地で育つものや獲れるものを中心に組み立てられた、季節感のあるコース料理です。田舎旅でいちばんおいしい食事になることもよくあります。席につく前に知っておきたい方は、会席料理ではどんな料理が出るのかをこちらで説明しています。
地酒。田舎の地域のほとんどで地酒が造られていて、会津は特に評価の高い産地のひとつです。市の中心部にある酒蔵では、見学や試飲を楽しめます。地元の人がお酒を枡からあふれるまで注いでくれたら、それはわざとです。枡からあふれるほど注ぐ理由も紹介しています。
実用的な注意点をひとつ。田舎のレストランは営業時間が短く、昼食と夕食の間は閉まっていることもよくあります。小さな町では、午後8時までに厨房の営業が終わることもあります。街中にいるときより早めに食事をとり、夕食付きの宿に泊まるなら、その夕食を利用しましょう。ほかに営業している店がないかもしれません。
日本で訪れたい田舎町
松本:日本アルプスへの玄関口となる城下町

松本は、初めて訪れる人にいつもおすすめしている田舎旅の拠点のひとつです。城下町の歴史、本格的なアルプスの風景、独自の食文化がそろい、東京から午後のうちにたどり着けます。詳しくは松本3日間の旅程で紹介していますが、ここでは松本がこのリストに入る理由をお伝えします。
松本の中心的な見どころは松本城で、日本に残る12の現存天守のひとつです。16世紀後半に築かれた黒い外観から「烏城」の異名を持ち、各地で見かけるコンクリート造りの復元天守とは違って、内部は木の急な階段や鉄砲狭間も含め、すべて当時のままです。靴下でほぼ垂直の階段を上るのは、それだけでもちょっとした冒険です。
松本駅からバスで約90分の場所には、北アルプスにある標高1,500メートルの保護された山岳渓谷、上高地があります。自家用車の乗り入れが禁止されているため、静けさが保たれています。河童橋から明神池までの歩きやすい散策路は、国内でも特に美しい、気軽に楽しめるハイキングコースのひとつです。9月下旬に訪れると、渓谷一帯のカラマツが黄金色に染まります。
まったく違った体験をするなら、安曇野の谷あいにある大王わさび農場もおすすめです。澄んだ湧水の流れに沿って広がる、日本最大のわさび農場です。入場無料で、ひっそりと美しい場所です。わさびソフトクリームも含め、これまで出会ったことのない形で新鮮なわさびを味わえます。
アクセス:新宿から松本までは、特急あずさで約2時間半です。この路線ではジャパン・レール・パスで運賃全額がカバーされないので、出発前に確認してください。
おすすめの時期:上高地の新緑を楽しむなら5月、アルプスの紅葉を見るなら9月下旬から10月中旬がおすすめです。
鳥取:砂丘と海岸の風景、日本海

鳥取は、外国人旅行者の訪問が日本で特に少ない県のひとつです。正直なところ、それこそがわざわざ足を延ばす価値のある理由です。本州の西岸、日本海に面したこの県には、迫力ある風景とちょっと変わった見どころがあり、ほかのどの田舎とも違う雰囲気があります。県内全域の見どころと、車で巡る方法を鳥取旅行ガイドにまとめました。
まず訪れたいのは、やはり鳥取砂丘です。実際に行ってみると、私たちは本当に驚きました。海岸沿いに約16キロメートル続き、高さは最大47メートル。日本唯一の大規模な砂丘地帯です。日本について書いていて、こんな一文を書くことになるとは思いませんでした。ラクダに乗ったり、斜面を砂すべりしたり、尾根まで登って海を眺めたりできます。観光バスが到着する前の早い時間に行くと、光の具合もよく、尾根をほぼ独り占めできます。
市街地のすぐ外には、中海を渡って島根県へと続く江島大橋があります。船が橋の下を通れるように急勾配で造られており、角度によっては橋がほぼ垂直に見える目の錯覚が起こります。西日本で最も写真に撮られる工学構造物のひとつとなっていて、短時間で立ち寄れて、料金もかかりません。
漫画を読んで育った方は、名探偵コナンの作者、青山剛昌の出身地である北栄町にも足を延ばしてみてください。町は作品一色で、通りにはキャラクターの銅像が並び、青山剛昌ふるさと館には全国からファンが訪れます。ファンの方に向けて、現実のコナンの町を詳しく紹介するガイドもまとめました。
アクセス:鳥取へは大阪から特急スーパーはくとで約2時間半です。京都や大阪からは、より安価な高速バスでも行けます。
おすすめの時期:砂丘を快適に歩くなら春と秋がおすすめです。冬は日本海が荒れますが、海岸線はドラマチックな表情を見せ、カニの季節を迎えます。日本でも屈指のおいしい海の幸を味わえます。
高山:日本アルプスに佇む江戸時代の山あいの町

ここは記事の中でも特に良いセクションです。具体的で情報が豊富で、酒蔵の軒先に吊るされた杉玉や市場の営業時間など、土地ならではの知識も盛り込まれています。ほとんどはそのままにして、私らしい語り口を加え、実際に訪れて気づいた細かな点をひとつかふたつ足します。高山への内部リンクは確認済みなので、そのまま残します。実際に専用のページがある白川郷と飛騨牛にもリンクを追加します。ダッシュは使いません。
リンクについて、事前にひとつお伝えします。アンカーテキストは「高山」ですが、リンク先はtakayama-and-the-hie-shrineに設定されています。問題ありませんが、リンク先は高山全般ではなく、日枝神社に特化したページです。そのため、よりふさわしい箇所にリンクを入れます。
高山は岐阜県の標高の高い谷あいにあり、四方をアルプスに囲まれています。この隔絶された環境こそが、この町の特別なところです。江戸時代を通じて外部との行き来が限られていたため、独自の工芸や食文化、建築様式が育まれ、その多くが驚くほどよく残っています。日本でも屈指の保存状態を誇る歴史的な町です。私たちが初めて田舎を旅したとき、ここを訪れて、都市ばかりを巡っていた間にどれほど見逃していたかに気づきました。
古い商家町、さんまち筋が町の中心です。17〜18世紀の黒い木造の酒蔵や工芸品店、商家が並ぶ、細い通りが3本続いています。酒蔵の多くは今も飛騨の酒をその場で造っていて、戸口の上に吊るされた杉玉を目印に見分けられます。地区を歩くだけなら1時間もかかりませんが、私たちは店を次々とのぞいていたら、午前中いっぱい過ごしていました。ここから日枝神社までは歩いてすぐなので、町の静かな一角を訪れたいときにも気軽に足を延ばせます。
高山の朝市は毎日、宮川沿いと高山陣屋の前で開かれます。農家の人たちが、漬物や山菜、工芸品、新鮮な農産物を、朝7時ごろから正午ごろまで販売しています。日帰りではなく一泊する価値がある、本当に魅力的な理由のひとつです。最初の観光バスが到着するころには、朝市はもう終わりに近づいているからです。
飛騨牛は高山を代表する名物です。岐阜の山あいで育つ和牛で、評判どおりのおいしさでした。市場の屋台では串焼きに、さんまち通り沿いの小さなお店では握りに、旅館では本格的な鉄板焼きのコースで味わえます。神戸牛以外では日本でも屈指の牛肉と広く評価されていて、通りに立って食べた串焼きは、今でも日本での食の思い出のひとつです。
バスで少し行ったところにある飛騨民俗村は、周辺の集落から移築された30棟以上の伝統的な農家を見学できる野外博物館です。白川郷で見られるような合掌造りの茅葺き屋根もいくつかあります。本物の集落を訪れる前に背景を知るのにとても役立つので、最初に立ち寄る場所としてぴったりです。
アクセス:高山へは、名古屋から特急ひだで2時間半、大阪からは約3時間です。両都市の間に位置しているため、一泊するのにも便利です。
おすすめの時期:精巧なからくり屋台が登場する、日本三大祭のひとつ「高山祭(春)」が開かれる4月下旬。秋祭と紅葉の見頃を楽しむなら10月中旬です。
白川郷:岐阜の山あいにある世界遺産の茅葺き屋根の集落

白川郷は、評判にたがわない数少ない有名な田舎の旅先のひとつです。時間をかけて訪れる価値があると、誰にでも伝えたい場所です。岐阜の狭い山あいにあるこの集落は、ユネスコ世界遺産であり、日本で合掌造りの農家が最も多く残る場所でもあります。「合掌造り」という名は、手を合わせた姿を表しています。急勾配のA字型の屋根は、谷に降り積もる雪の重みで家が押しつぶされないよう、雪を落とすために造られました。
荻町の集落には、今も約60棟の合掌造りの家屋が残っており、そのうち9棟は博物館や宿として公開されています。ゆっくり歩いて回ると、2時間ほどかかります。見学できる中で最も大きいのが和田家です。3階建ての建物には当時の家具や農具が残されていて、上の階からは屋根の構造を内側から見ることができます。これだけでも、手頃な入館料を払う価値があります。
できれば日帰りではなく、一泊するのがおすすめです。これは特に強くお伝えしたいポイントです。午後のバスが出ていくと、集落はすっかり静まり返ります。茅葺き屋根を照らす夕暮れの光は格別ですし、今も使われている農家で朝食を食べて目覚めたことは、旅全体の中でも特に心に残る体験のひとつでした。
最も写真に撮られるのは冬です。特に1月と2月の限られた日に行われるライトアップでは、雪景色の中、合掌造りの家屋が下から照らされます。ただし注意が必要です。ライトアップを眺める展望台の入場券は抽選制で、すぐに売り切れます。数か月前に白川郷観光協会のウェブサイトから申し込みましょう。現地に着いてから、見逃したと気づく人もいるようなイベントです。
アクセス:白川郷へは通常、高山から高速バスで約50分、または金沢から約75分です。鉄道ではアクセスできません。高山と白川郷を合わせて訪れるなら、2〜3泊あればゆったり回れます。
おすすめの時期:雪景色とライトアップを楽しむなら1月と2月。山肌に紅葉が残り、初雪も期待できる11月下旬もおすすめです。夏は最も人が少なく、静かに過ごせる季節です。
支笏洞爺:北海道南部の火山湖と温泉

支笏洞爺国立公園は、日本有数の印象的な湖ふたつの間に広がる、北海道南部の雄大なエリアです。北日本の本格的な自然を気軽に楽しめる場所のひとつで、札幌から南西へ約60キロしか離れていません。活火山の景観と、北日本屈指の温泉地を一度に楽しめます。
支笏湖は、二つの湖のうち、より深く静かな湖です。水深363メートルで日本で2番目に深く、光や季節によって青さが変わる、透明度の高い水が魅力です。火山カルデラにあり、大きな川が流入も流出もしないため、非常に清らかな状態が保たれています。風が強くなる前の早朝にここでカヤックを楽しむのは、北海道で過ごせる、穏やかで充実した朝のひとつです。
洞爺湖はより開発が進んでいて、また違った意味でドラマチックな景観が広がります。こちらもカルデラ湖で、中央には中島が浮かび、南岸には有珠山がそびえています。有珠山は日本で最も活動的な火山のひとつで、20世紀には4回噴火し、直近の噴火は2000年でした。有珠山ロープウェイで斜面を上ると、固まった溶岩流や火口周辺の被害を見渡せます。噴火の記録として、意図的に修復されずに残されている場所も多くあります。
南岸にある洞爺湖温泉街が、滞在の拠点になります。湖畔に建つ大きなホテルが並ぶ昔ながらの温泉リゾートで、水に面した露天風呂もあります。ただし、施設によって質にかなり差があるので、予約前に最近の口コミを確認しておくと安心です。
より静かな温泉を楽しみたいなら、国立公園のすぐ外にある登別がおすすめです。北海道を代表する温泉地のひとつです。地獄谷は蒸気が立ちのぼる火山性の火口で、9種類の異なる泉質の湯を、下にある温泉施設へと供給しています。歩いて回れるうえ、迫力ある景観が広がり、これまで私たちが訪れたどの温泉街とも違う場所です。
アクセス:札幌から洞爺湖、登別へは、高速バスが定期的に運行しています。所要時間は目的地によって異なり、およそ1時間半から2時間です。バスの時間を気にせず、二つの湖と登別を一度の旅で巡りたいなら、レンタカーを利用する価値があります。
おすすめの時期:ハイキングやカヤックを楽しむなら、4月下旬から10月がおすすめです。冬は北海道らしい雪がたくさん降り、湖畔の景色は一変しますが、火山の登山道へのアクセスは限られます。洞爺湖温泉の花火は4月下旬から10月まで毎晩打ち上げられ、湖岸からそのまま眺められます。
箱根:温泉街と富士山の眺めを楽しむ、東京からの旅

箱根は東京から最も気軽に行ける田舎への小旅行先で、日本でも指折りの充実した短期旅行先です。神奈川県にあり、新宿から約90分。温泉旅館、火山の景観、屋外アート、そして東京近郊で最も気軽に訪れられる富士山の絶景が、ひとつの谷に詰まっています。混雑しているのは確かですが、少し計画を立てれば静かな場所も見つかります。多くの人が箱根を訪れる一番の理由なので、箱根から望む富士山については別のガイドにまとめました。
箱根ロープウェイは、このエリアを巡る移動の要です。大涌谷の上の尾根を越え、早雲山から桃源台まで運行しています。晴れた日にゴンドラから富士山を眺めていると、思わず話の途中で言葉を失うほどです。ロープウェイは大涌谷の真上を通ります。ここは活動中の火山の谷で、硫黄の噴気孔が山肌から噴き出し、売店では火山の温泉で殻が黒くなるまでゆでた黒たまごが売られています。地元の言い伝えでは、ひとつ食べると寿命が7年延びるそうです。僕たちもひとつ食べました。そうなることを期待しています。
南端にある芦ノ湖は、箱根の中心的な見どころです。海賊船をテーマにした遊覧船は、いい意味でばかばかしく、晴れた朝には北岸から、水面の向こうにそびえる富士山をまっすぐ見渡せます。湖畔に立つ箱根神社の赤い鳥居は、関東地方でも特に写真に撮られる場所のひとつです。そしてここは、写真で見る以上に見事です。
箱根には、東京近郊でも特に多くの旅館があります。貸切露天風呂のある大型リゾートホテルから、小さな家族経営の宿までさまざまです。谷の入口にある箱根湯本エリアには、中価格帯の宿が最も集中しています。週末に泊まるなら少なくとも2か月前に、11月の紅葉シーズンならさらに早めに予約しましょう。
現代アートにあまり興味がなくても、彫刻の森美術館には半日かける価値があります。美しく整えられた丘陵地に広がる敷地には、ヘンリー・ムーアの彫刻、ピカソの陶芸作品、草間彌生のインフィニティ・ミラールームがあります。アートと山の景色の組み合わせは、驚くほど見事に調和しています。
アクセス:新宿からロマンスカーに乗れば、約85分で箱根湯本に到着します。最も快適な行き方です。箱根フリーパスにはロマンスカーの運賃に加え、ロープウェイ、バス、遊覧船、エリア内の電車が乗り放題になる分も含まれているため、切符をひとつずつ買うよりずっとお得です。
おすすめの時期:富士山と紅葉を楽しむなら、10月中旬から11月下旬がおすすめです。冬の澄んだ空気のなかで、特にくっきりした富士山を見たいなら1月と2月です。富士山を望む別の拠点も組み合わせたい方は、もうひとつの定番エリアを紹介する河口湖の旅程ガイドをご覧ください。ゴールデンウィークと夏の週末は、料金も混雑もピークになるので避けましょう。
河口湖:箱根より手頃に楽しむ富士山の眺め

河口湖は富士五湖の中で最も多くの人が訪れ、東京からもいちばんアクセスしやすい湖です。山梨県の富士山北側に位置しています。箱根で洗練されたリゾート気分を味わえるのに対し、河口湖はより素朴で、ずっと手頃です。周辺の施設よりも、富士山を眺める時間にお金を使いたいなら、河口湖のほうが向いています。日ごとの詳しいプランは、こちらの河口湖モデルコースをご覧ください。
新宿からの直通高速バスなら、片道約1,800円で河口湖まで約115分です。箱根行きのロマンスカーと比べると、かなり手頃です。バスは日中頻繁に運行していて、繁忙期以外は予約なしでも利用できます。ただし、10月下旬から11月上旬の紅葉シーズンの週末は、早めに予約しておくのがおすすめです。
河口湖駅でレンタカーを借りるのが、周辺を移動するいちばん効率的な方法です。北岸の道路沿いには、富士山を遮るものなく眺められる駐車スペースがいくつかあります。車があれば、繁忙期にはひどく混雑する路線バスに頼らずに済みます。駅周辺のレンタカー営業所の多くは午前8時から営業していて、コンパクトカーは1日約6,000円から借りられます。
北岸にある大石公園は、湖畔で無料で楽しめる眺望スポットとしていちばんおすすめです。広々とした芝生から、湖の向こうに富士山を正面に眺められます。7月上旬にはラベンダー、10月中旬には赤く色づくコキアが見頃を迎え、富士五湖エリアでも特に季節感のある撮影スポットになります。
宿泊先を探すなら、富士山をしっかり眺められる手頃な客室は、箱根より河口湖のほうがずっと見つけやすいです。ホテルカイノサトのような宿では、清潔な富士山向きの客室をセルフチェックインで利用できます。同程度の箱根の旅館と比べると、料金が半額以下になることも珍しくありません。
車があるなら、湖沿いを西へ20分ほど走ったところにある西湖いやしの里根場にも立ち寄る価値があります。1966年、台風による土砂崩れで元の根場集落が壊滅した場所に、茅葺き屋根の集落が再現されています。修復を経て、2012年に野外博物館として再開しました。湖畔の中心部より訪れる人がずっと少なく、晴れた日には、茅葺き屋根の向こうに富士山を望む景色を楽しめます。周辺でも屈指の眺めです。
アクセス:新宿高速バスターミナルから河口湖駅まで、直通高速バスが日中運行していて、所要時間は約115分です。富士急行線で河口湖から大月まで行き、大月でJR中央線に乗り換えて東京へ戻れます。来た道を引き返さずに済むので、周遊ルートとして便利です。
おすすめの時期:湖面に映る紅葉と、その向こうにそびえる富士山を楽しむなら、10月下旬から11月上旬がおすすめです。冬の澄んだ空気のなかで、年間を通して最もくっきりとした富士山を眺めるなら、1月上旬から2月中旬がよいでしょう。3月下旬から4月上旬の桜の季節には、定番の五重塔と富士山の写真を撮れる、富士吉田の忠霊塔へ続く散策路と組み合わせてみてください。
石垣島と宮古島:日本の南端に広がる熱帯の島々
石垣島と宮古島は、日本のはるか南西に位置する八重山諸島にあり、東京より台湾のほうが近い場所です。その雰囲気も、まさに地理的な近さを感じさせます。亜熱帯の気候、サンゴ礁、琉球の文化、そして本土とはほとんど共通点のない暮らしのペース。東京と京都を旅したことがあるなら、この島々はまるで別の国のように感じられるはずです。日本でいちばん意外性があったのも、私たちにとってはこの地域でした。旅の全容は、石垣島・宮古島ガイドで紹介しています。
石垣島はより大きく開発が進んだ島で、諸島をめぐる交通の拠点でもあります。市街地にはレストランやダイビングショップ、宿泊施設が充実していて、島の海岸線にはサンゴの浜辺やマングローブの川が広がっています。北西部にある川平湾は、最も写真に撮られるスポットです。白い砂と生きたサンゴの上に、浅く澄んだターコイズブルーの海が広がります。黒真珠の養殖場を守るため、また潮流の影響もあり、ここでは泳げません。ただし、定期運航しているグラスボートに乗れば、海中のサンゴ礁を眺められます。
石垣島からは、日帰りで訪れる価値のある小さな島々へフェリーが出ています。竹富島までは15分ほどで、白いサンゴの石垣や赤瓦の屋根が並ぶ、昔ながらの琉球の集落が残っています。砂を敷いた道を、水牛車がゆっくりと進んでいきます。フェリーで40分ほどの西表島は、面積の90%がジャングルです。絶滅の危機に瀕し、残り100頭未満とされるイリオモテヤマネコをはじめ、日本でも特に生物多様性に富んだ自然が広がっています。
宮古島は石垣島の北東約300キロに位置し、フェリーではなく東京、大阪、那覇からの直行便でアクセスできます。石垣島ほど起伏に富んだ景観ではありませんが、海の美しさは日本一と評されることもよくあります。南西部にある与那覇前浜ビーチには、きめ細かな白砂が7キロにわたって続き、国内で最も美しいビーチとしてたびたび名前が挙がります。遠浅の海は、沖に出ても温かく澄んでいます。
2015年に完成した伊良部大橋は、宮古島と小さな伊良部島を結ぶ橋です。全長は4キロ弱で、日本最長の無料橋です。橋を渡ると、両側に広がる大海原を眺められます。その先には、宮古島の主要な海岸に比べて訪れる人が少ない、静かなビーチやシュノーケリングスポットがあります。
両島の琉球文化は、言葉や食、音楽、工芸において独自のもので、本土とは異なります。沖縄料理には、日本のほかの地域ではあまり出合わない食材や料理が使われています。ゴーヤーチャンプルーや、豚の三枚肉を煮込んだラフテー、沖縄だけで造られる米の蒸留酒・泡盛などです。リゾートのダイニングではなく、小さな地元の店で食べると、旅の体験がぐっと変わります。本島の沖縄についても知りたい方は、那覇の首里城を紹介した記事をご覧ください。ちょっと変わったものに興味があるなら、地元のハブ酒の記事もあります。
アクセス:石垣島から東京・羽田へは約3時間、那覇へは約1時間の直行便があります。宮古島へは東京、大阪、名古屋から直行便が運航しています。日中は島々を結ぶフェリーが、石垣島と竹富島、西表島、小浜島をはじめとする八重山諸島の島々を結んでいます。
おすすめの時期:蒸し暑い夏や台風シーズンを迎える前の、気候が暖かい3月から5月がおすすめです。10月と11月は天候が安定し、ダイビングに適した透明度の高い海を楽しめるうえ、宿泊料金も夏のピーク時よりかなり下がります。台風シーズンは6月から9月で、予告なく飛行機やフェリーの運航に影響が出ることがあります。
直島:瀬戸内海に浮かぶ日本のアートの島

わざわざ足を運ぶ価値があるなら、直島は日本の田舎で最も不思議で、訪れる喜びの大きい場所のひとつです。本州と四国の間、瀬戸内海に浮かぶ小さな漁業の島だった直島は、ベネッセコーポレーションの投資と安藤忠雄の建築を通じて、衰退する産業の町から国際的に知られる現代アートの拠点へと、約30年かけて姿を変えました。世界水準の美術館や場所に合わせた作品と、昔ながらの漁村の暮らしがすぐ隣り合う島です。実用的な計画の立て方は、詳しい直島アートの島ガイドをご覧ください。
直島の中心となる地中美術館は、日本でも特に印象的な美術館建築のひとつです。安藤忠雄が建物全体を設計し、景観を損なわないよう、ほぼすべてを地下に埋めました。常設展示はわずか5作品。モネの大作「睡蓮」3点、ジェームズ・タレルのインスタレーション2点、そしてウォルター・デ・マリアの作品1点です。意図をもってつくられた空間に作品を少数だけ展示することで、大規模なコレクションではなかなか味わえない印象をひとつひとつの作品から受け取れます。コンクリートに設けられた天窓から自然光が差し込み、時間とともに作品の見え方が変わるため、午前10時と午後3時では、同じ美術館でも本当に異なる体験になります。
ベネッセハウスは、安藤忠雄が設計した美術館とホテルを組み合わせた施設で、南岸を見下ろす丘の斜面に建っています。常設コレクションには、ブルース・ナウマン、リチャード・ロング、杉本博司らの、建物のために制作された作品が含まれています。ホテルに宿泊すると、一般の閉館後にほとんど人のいない美術館を鑑賞できます。夜のアートや建築、海の眺めが織りなす体験には、お金をかける価値があると私は思います。
家プロジェクトでは、島の伝統的な集落である本村の歴史ある建物7軒に作品が点在しています。住宅や神社、かつての歯科医院、寺が、それぞれ異なるアーティストによって常設作品へと生まれ変わりました。作品を巡って歩くと2〜3時間ほどかかります。アートが日常から切り離されているのではなく、島の暮らしに溶け込んでいることを実感できます。
ゴタンジの桟橋にある草間彌生の黄色いカボチャは、島で最も写真に撮られる名所です。2021年に台風で損傷し、しばらく撤去された後、修復されて元の場所に戻りました。私たちもそうでしたが、フェリーを降りた多くの人がまず立ち寄る場所です。
島には、主な美術館や集落を結ぶサイクリングルートもあります。レンタサイクルは両方のフェリーターミナル近くで借りられます。1日ですべてを巡るなら、自転車が最も現実的な移動手段です。ただ、島に泊まれば、もっとゆったりと過ごせます。
アクセス:直島へは、岡山県の宇野港からフェリーで約20分、または四国の高松から約60分です。宇野港へは岡山駅から電車で1時間ほどです。広島や岡山から高松、松山へ向かう旅程にも、自然に組み込めます。
訪れるのにおすすめの時期:気候が穏やかで、瀬戸内海の光も澄みわたる春と秋です。この光は、地中美術館の中での体験を本当に変えてくれます。瀬戸内海の複数の島々で開催される国際芸術祭「瀬戸内国際芸術祭」は、およそ3年に一度開かれ、直島や近隣の島々に期間限定の作品が加わります。
和歌山:高野山、熊野古道、猫の駅長

和歌山県は大阪の南、紀伊半島に位置し、日本を代表する精神文化の聖地が三つあります。見どころの多さに比べて、海外からの旅行者にはいつも見過ごされがちです。だからこそ、関西旅行では京都や奈良の先まで足を延ばしてほしいと、私は思っています。
高野山がここを訪れる一番の理由です。816年に僧侶の空海、すなわち弘法大師によって開かれました。標高800メートルの山あいにあり、極楽橋駅から急勾配のケーブルカーに乗って向かいます。町には100を超える仏教寺院があり、多くの寺院では宿坊に泊まれます。宿坊に滞在すれば、精進料理を味わい、朝のお勤めに参加し、1,200年以上途切れることなく続いてきた宗教共同体の中で一夜を過ごせます。そして奥之院の墓地も見逃せません。苔むした2キロの道が、杉の古木の間を抜けて空海の御廟へと続きます。暗くなってから訪れてみてください。石灯籠に照らされた道の両側には、12世紀にわたって葬られてきた大名や武士、庶民の墓が並びます。日本各地で歩いた中でも、最も雰囲気のある道です。
熊野古道は、紀伊半島を横断する巡礼道のネットワークです。ユネスコ世界遺産に登録されており、スペインのサンティアゴ巡礼路と並び、世界でわずか2つしかない世界遺産の巡礼路のひとつです。道は熊野本宮大社、熊野那智大社、熊野速玉大社という三つの大社を結んでいます。多くの人が歩くのは、滝尻王子から熊野本宮大社までの中辺路です。山の森を抜ける2〜3日間の道中には、素朴な宿が点在しています。熊野那智大社のすぐそばにある那智の滝は、133メートルの落差を途切れることなく流れ落ちる、日本一の直瀑です。
和歌山県の西岸に広がる白浜の海岸は、また違った雰囲気です。白い砂浜は本州でも屈指の美しさで、周辺には温泉も豊富です。そのひとつ、崎の湯(崎の湯)は、海のすぐ上にある露天の岩風呂。1,300年以上の歴史があり、日本最古の温泉のひとつに数えられています。
そして、猫もいます。和歌山電鐵貴志川線の貴志駅では、経営難に陥ったローカル線を廃線から救うため、2007年に迷い猫の三毛猫「たま」が正式に駅長に任命されたことをきっかけに、猫の駅長が受け継がれています。作戦は成功しました。全国的に報道され、乗客数が大きく増え、やがて駅には「たまミュージアム」もできました。たまは2015年に亡くなり、駅の社で女神として祀られました。後任のニタマが現在駅長を務めていて、たいてい平日に勤務しています。このガイドでいちばん日本らしい一文かもしれません。
アクセス:高野山へは、大阪難波から南海電鉄で極楽橋まで約90分。そこからケーブルカーに乗ります。熊野古道の登山口へは白浜からバスで向かうのが簡単です。または、紀伊半島東岸の新宮まで近鉄線とJR線を利用する方法もあります。レンタカーがあれば、小さな登山口や海岸沿いのスポットにもぐっと行きやすくなります。
おすすめの時期:高野山の森の雰囲気を楽しみ、熊野古道を快適に歩くなら、春と秋がおすすめです。夏は緑が濃く美しい一方、標高の低い場所は蒸し暑くなります。高野山の冬は、杉に雪が積もり、墓地へ続く道に灯籠の明かりがともります。寒さに耐えられるなら、格別の景色です。
スノーモンキー温泉:長野の山あいの温泉に入る野生のニホンザル

長野県北部にある地獄谷野猿公苑は、日本でも特に珍しく、魅力的な野生動物との出会いを楽しめる場所です。知る限り、野生のサルが定期的に温泉に入る場所は世界でここだけです。地獄谷という名前は、地面から立ち上る湯けむりや、岩の間から湧き出る熱湯に由来します。ニホンザルは完全な野生で、自由に行き来するため、必ず見られるとは限りません。ただ、冬の間はかなり高い確率で出会えます。寒さを避けて、群れが森から温泉の暖かさを求めて下りてくるからです。詳しい情報はスノーモンキー温泉ガイドをご覧ください。
冬なら、長野でも特に手頃なスキー場のひとつ、竜王スキーパークで滑る一日と組み合わせるのもおすすめです。
公園は標高約850メートルにあり、上林温泉の駐車場から杉やナラの森を抜ける2キロの道を歩いて向かいます。片道約30分です。道が乾いていれば、歩くのは簡単です。冬は道が凍るため、適切な靴が欠かせません。公園内ではニホンザルとの間に柵がなく、人には慣れていても野生動物です。触らない、餌を与えない、目をじっと見つめないというルールは、きちんと守る必要があります。
群れは約160頭。温泉に入る習慣は、1960年代に若いメスザルが一頭、水に入ったことから始まり、その後、世代を超えて群れに広まりました。湯に入るのは若いサルが中心で、成獣のオスは縁に座っていることがよくあります。多くの人が過ごす15分ではなく、1時間ほど滞在するのが何よりの楽しみです。落ち着いて眺めていると、群れの社会的なやりとりが、この場所で過ごす時間のいちばん興味深いところだとわかります。
12月から2月の冬の朝なら、誰もが見たい景色に出会えます。湯けむりが立ち、木々には雪が積もり、サルたちが湯に集まっています。9時の開園に合わせて到着すれば、午前中半ばにやって来るツアー客より先に入れます。それだけで体験がまったく違ってきます。
地獄谷には、谷のふもとにある小さな温泉地、山ノ内温泉を組み合わせるのが自然です。昔ながらの旅館が数軒あり、宿泊できます。旅館の夕食を楽しみ、夜に湯につかり、翌朝は誰よりも早く歩いて向かうのが、ここを訪れるいちばんの方法です。この地域をさらに巡るなら、ほかに訪れる価値のある場所を長野の旅程ガイドで紹介しています。
アクセス:最寄り駅は長野電鉄の湯田中駅です。長野駅から約45分で、そこからバスに乗り、遊歩道の起点となる上林温泉の駐車場へ向かいます。長野までは東京から北陸新幹線で80分なので、日帰りもできますが、宿泊するほうがずっと楽しめます。新幹線を予約したことがなければ、新幹線のきっぷの予約方法で手順を紹介しています。
おすすめの時期:雪景色と、サルが温泉に入る姿を楽しむなら12月から2月です。公園は通年営業で、夏には緑の森の中にいるサルを見られますが、冬こそ象徴的な季節で、多くの人が訪れる理由でもあります。
会津若松:福島の侍の歴史と酒どころ

会津若松は、東北地方にある福島県の内陸盆地に位置し、東京から電車でおよそ3時間です。日本北部でも特に歴史的な城下町のひとつでありながら、外国人旅行者の訪問は比較的少ない場所です。京都や日光のような混雑を避けて、本物の侍の歴史に触れたい人に、私ならぜひ訪れてほしいと思います。日ごとの行程は、詳しい会津3日間の旅程をご覧ください。
町の中心となる鶴ヶ城は、日本で唯一、赤瓦の屋根を持つ城です。1865年の再建時、当初の姿を記録に基づいて復元するために、意図的に赤瓦が選ばれました。城の歴史を語るうえで大きな節目となったのが、1868年の戊辰戦争です。徳川幕府に忠誠を誓う会津勢は、1か月に及ぶ籠城戦で新政府軍に抵抗した末、降伏しました。城内の博物館ではこの時代について詳しく学べます。今も町に色濃く残る侍の文化を理解するうえで、ぜひ知っておきたい背景です。
会津の歴史の中心にあるのが、少年たちで編成された侍の部隊、白虎隊の物語です。14歳から17歳ほどの隊士20人は、戦闘中に部隊からはぐれ、飯盛山にたどり着きました。町から煙が立ち上るのを見て、城が落ちたと思い込み、降伏するよりも自ら命を絶つことを選びました。19人が亡くなりました。飯沼貞吉だけは、地元の女性に発見されて助けられ、1931年まで生きました。私たちがこの物語を知ることができるのは、そのおかげです。実際には、城は落ちていませんでした。飯盛山にある彼らの墓は町でも特に多くの人が訪れる場所のひとつで、この物語は今も地元の学校で教えられています。
中心部近くにある七日町通りは、大正時代の面影を残す短い商店街です。20世紀初頭の店構えが今も残り、現在は工芸品店や試飲のできる酒蔵、小さな飲食店が並んでいます。人通りの多い町にある保存地区ではなかなか見られない、静かでのんびりした雰囲気が魅力です。
会津は、寒い冬、清らかな山の水、周囲の盆地で育つ米に恵まれた、日本有数の名醸地でもあります。市街地にある末廣酒造では見学や試飲ができ、1850年から一度も途切れることなく酒造りを続けています。同じように酒造りを続ける蔵はほかにもあり、午後の散策で2、3か所を無理なく巡れます。(枡からお酒があふれるほど注がれる理由が気になったことがあれば、枡の伝統について別の記事で紹介しています。)
東山温泉は中心部から東へ3キロ、細い谷あいにあります。東北でも古い温泉地のひとつで、湯治場の記録は1,300年以上前にさかのぼります。谷沿いの道には昔ながらの旅館が数軒並び、日光や長野の似た温泉地に比べて訪れる人がずっと少ないため、週末も静かな雰囲気が保たれています。
会津若松から奥会津の山々を抜けて西へ向かう只見線は、日本でも特に景色の美しいローカル線のひとつです。人里離れた山あいの集落を通り、いくつもの川橋を渡りながら、ほとんど観光客が訪れない福島の地域へと進みます。只見まで片道およそ3時間かかるため、日帰りで往復するより、奥会津に一泊して楽しむのがおすすめです。
アクセス:東京から東北新幹線で郡山へ行き、磐越西線に乗り換えて会津若松へ向かいます。所要時間は合計で約2時間45分です。浅草からは直通の高速バスも運行しており、所要時間は約4時間で、新幹線を乗り継ぐよりかなり安く済みます。新幹線の予約が初めてなら、新幹線の切符の予約方法で紹介しています。
おすすめの時期:鶴ヶ城周辺や只見線沿いの渓谷が紅葉に染まる、10月下旬から11月上旬です。冬には城の敷地や周辺の田園地帯が深い雪に覆われ、ほかの季節よりも籠城戦当時の状況を身近に感じられます。
富山と立山黒部アルペンルート:日本の雪の壁を巡る山旅

本州北西部の日本海沿岸に位置する富山は、世界でも有数の豪雪地帯です。その雪があるからこそ立山黒部アルペンルートが生まれ、毎年春にルートが再開すると、冬に積もった雪がどれほどのものかを見ようと、日本各地や海外から人々が訪れます。
このルートは、北アルプスの西側にある富山市と、東側にある長野県大町市を結ぶ全長37キロの山越えルートで、車で通り抜けることはできません。ケーブルカー、ロープウェイ、電気トロリーバス、山岳バスなど、7種類の乗り物を順に乗り継ぎ、最高地点の室堂では標高2,450メートルに達します。ゆっくり進むと全行程で5〜6時間かかります。往復するより、2つの県を結ぶ片道の旅として楽しむのがおすすめです。
室堂にある雪の大谷の雪の回廊が、このルートの見どころです。4月中旬にルートが開通すると、圧雪された雪の壁の間を道路が通ります。壁の高さは15メートルを超えることが多く、雪の多い年には20メートル近くに達することもあります。壁は機械で垂直に切り出されています。そのふもとに立ち、見上げる体験は、写真ではなかなか伝わりません。壁が溶けて低くなるにつれて、回廊は6月中旬まで楽しめます。最も高くなるのは4月下旬から5月上旬です。
室堂は標高2,450メートルの高原にあり、8世紀から神道の巡礼者を引きつけてきた聖なる峰、雄山をはじめとする立山連峰を望めます。晴れた日には、遠くに富士山のシルエットまで見渡せます。高い場所の登山道から雪が消える7月下旬ごろには、ハイキングコースが開きます。室堂の火山地帯、地獄谷(長野県にある同じ名前の別の谷とは異なります)では、遊歩道のすぐそばから噴気や硫黄の造形が立ち上っています。
長野側に近い黒部ダムは、高さ186メートルを誇る日本一の高さのダムです。道路の通じていない場所で1956年から1963年にかけて建設するため、山々を貫くトンネルを掘る必要があり、171人の作業員が命を落としました。夏にはダムの放水によって国内最大級の人工滝が生まれ、貯水池の上にある展望台からは、ここに築かれたものの規模を実感できます。
アルペンルートの先にある富山にも、時間をかけて訪れる価値があります。富山湾は日本の料理人たちから国内有数の魚介の産地と評され、上質な白えび、ホタルイカ、ブリが水揚げされます。海岸から意外なほど近い場所で水深が1,000メートルを超えるため、浅い沿岸の海とは違って海の生き物が集まります。富山の海沿いのレストランでは、東京で同じ品質のものを食べるよりずっと手頃な価格で、朝獲れの魚介を楽しめます。
見逃す人が多いのが五箇山です。富山側の同じ山あいにある、白川郷の知名度の低い姉妹のような世界遺産の集落で、規模は小さいものの、合掌造りの民家が同じように良好な状態で残っています。白川郷に比べて訪れる人はずっと少なく、静かで、今も人々の暮らしが息づいているのを感じられます。富山から出かけて両方を巡れば、アルプス旅行に深みが加わります。
アクセス:アルペンルートは立山駅から始まります。立山駅は富山駅から富山地方鉄道で約1時間です。富山には北陸新幹線が停車し、東京から約2時間、金沢からはわずか20分です。重要な点として、ルートは11月下旬から4月中旬まで全面閉鎖されます。旅行の計画を立てる前に、営業期間を確認してください。
おすすめの時期:雪の大谷で最も高い雪の壁を見たいなら、4月下旬から5月中旬です。高山植物や室堂での爽やかなハイキングを楽しむなら、7月下旬から8月がおすすめです。標高の低い区間では、9月下旬から10月上旬の紅葉が見事ですが、標高の高い場所はシーズン中でも早めに閉鎖されます。
九州の田舎:日田、由布岳、そして『ONE PIECE』誕生の地

日本の主要4島の中で、田舎旅の行き先として最も見落とされがちなのが九州です。だからこそ、九州には訪れる価値があります。火山が生み出した緑豊かな田園風景が広がり、観光地化によって魅力が薄れてしまった地域に比べ、観光客向けの施設もあまりありません。レンタカーを借りましょう。主要な町どうしは公共交通機関で問題なく移動できますが、九州の魅力はその間にあります。バスが通らない山道や川沿いの谷あいにこそ、見どころが点在しています。私たちが実際に走ったルートは、九州の田舎を巡る旅程で紹介しています。
大分の山あいにある小さな城下町、日田。三隈川沿いに築かれ、徳川幕府の直轄地だった江戸時代の面影を色濃く残しています。豆田町には、商家造りの町家が最もよく残る一角があり、風のない朝には白壁と黒い木組みが川面に映ります。日田はまた、『進撃の巨人』に登場する山あいの村のモデルになった町でもあります。作者の諫山創さんはここで生まれ育ちました。町を取り囲む急な斜面を見れば、壁に囲まれた村がどこから着想されたのかがわかります。川沿いにはエレン・イェーガーの銅像もあります。興味があれば、別のガイドで日本にあるアニメの聖地をさらに紹介しています。
大分中部の由布院盆地を見下ろす由布岳は、標高1,583メートル。晴れた日には、周囲の広い範囲から双耳峰の火山を見ることができます。町の上にある登山口から山頂までは、比較的わかりやすいコースで、所要時間は約2時間。山頂からは九州を見渡せます。由布院は九州屈指の人気を誇る温泉地で、駅から湖へ向かう湯の坪街道沿いには、旅館や小さなギャラリー、工芸品店が並びます。田舎町というイメージから想像するより賑わっていますが、車があれば観光の中心エリアから離れた小さな宿にも泊まれるので、ずっと静かに過ごせます。
由布院から車で東へ30分の別府は、地球上でも有数の地熱活動が活発な場所で、日本一の湧出量を誇ります。町のあちこちで排水溝や道路脇、地面の噴気口から湯けむりが上がり、どこか不思議で別世界のような雰囲気があります。北部の鉄輪地区にある別府地獄めぐりでは、色鮮やかな温泉池を8か所巡ります。血のように赤い鉄泉、コバルトブルーの池、ゆっくりと泥が泡立つ灰色の池などがあります。入浴はできませんが、2時間ほどかけて歩いて巡る価値があります。
大分県南部の佐伯市は、史上最も売れた漫画シリーズ『ワンピース』の作者、尾田栄一郎さんの出身地です。市内には壁画や専用の展示コーナーがあり、季節ごとのイベントも開催されています。静かな海岸沿いに位置し、初期のエピソードに登場する東の海(イーストブルー)の町を思わせる景色が広がります。ファンなら、別府から南へ足を延ばす価値があります。
4か所を巡るなら、2〜3日で回るドライブルートが無理のないプランです。大分空港に到着するか、福岡から高速バスで移動してレンタカーを借ります。西へ向かって日田で1泊し、山道を北上して由布院で2泊目。その後、東の別府へ進み、ワンピースゆかりの地に興味があれば、海岸沿いを南下して佐伯へ向かいます。
アクセス:九州北部の玄関口は福岡です。国際線が就航し、東京からは新幹線で約5時間です。別府と大分は、特急で福岡と結ばれており、所要時間はおよそ2時間です。レンタカーは大分駅、別府駅、大分空港で借りられます。日田や由布院を巡るなら、ほぼ必須だと思います。
おすすめの時期:日田の川沿いや由布岳の斜面で紅葉が見頃を迎える10月下旬から11月中旬がおすすめです。九州でも特に美しい紅葉を楽しめます。3月下旬から4月上旬には、豆田町の川沿いが桜に彩られます。夏は緑が豊かですが、低地は蒸し暑くなります。
日本の田舎を旅する価値はある?
短く言うと、旅程の中で私がいちばん外したくないのは、日本の地方です。都市も素晴らしく、ぜひ訪れてほしい場所ですが、東京や京都は、ほかの旅行者もみんな訪れる場所です。地方では、ほかに宿泊客が3人いる山あいの温泉、外国人が自分ひとりだけの朝市、危うく乗り遅れそうになった最終バス、そして私の帰りを待って起きていてくれた宿の主人に出会えます。心に残るのは、そんな一日です。
旅の計画を大幅に変える必要はありません。2週間の旅程に2、3泊、地方での滞在を加えるだけで、旅の印象は大きく変わります。時間があまりなければ、東京から箱根か河口湖へ。1週間あるなら、松本、高山、白川郷を巡るアルプスルートを旅してみてください。有名な定番スポットをすでに訪れたことがあるなら、鳥取や会津、九州まで足を延ばせば、ほかの外国人旅行者にほとんど会わずに過ごせます。
どこへ行くにしても、宿は早めに予約し、バスの時刻を二度確認して、必要以上に感じるくらい現金を持っていきましょう。
次に読むなら
このガイドの内容をさらに詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。
行き先を決めて計画する。 長野の旅程、会津3日間の旅程、九州の田舎を巡る旅程は、そのまま使える詳細なルートプランです。
宿選びをしっかりする。 温泉と旅館のガイドでは、旅館の仕組みや料金に含まれるもの、浴場でのマナーを解説しています。
食をもっと楽しむ。 日本食ガイドでは、地域の名物料理にとどまらない、日本の食の全体像を紹介しています。
目の前にあるものの背景を知っておきましょう。 日本文化ガイドでは、村で実際に目にすると博物館で見るよりも理解しやすい習慣や祭り、マナーを紹介しています。
都市の旅と組み合わせるのもおすすめです。旅の計画を立てるなら、東京で楽しめることのガイドと、ほかの情報をまとめた日本を深く知るためのガイドもあわせてご覧ください。
ここで紹介した場所を訪れたことはありますか?それとも、まだ知られていない田舎の旅先を見つけましたか?コメントでぜひ教えてください。すべて読んでいますし、次に身を隠すように過ごせる谷をいつも探しています。
日本の田舎旅に関するよくある質問
日本の田舎は訪れる価値がありますか?
はい。多くの旅行者にとって、旅のハイライトになる場所です。東京や京都を離れると、茅葺き屋根の集落や山あいの温泉、雄大な海岸線に出会えます。観光客がずっと少ないなかで、日本のよりゆったりとした素顔にも触れられます。
日本の地方を旅するには車が必要ですか?
必ずしも必要ではありません。高山、松本、箱根、河口湖など、主要な地方の観光地には電車やバスで行けます。一方、レンタカーがあれば、公共交通機関の便が少ない奥地の集落や海岸、山道にも足を延ばせます。各目的地への行き方は、上のガイドで詳しく紹介しています。
日本語が話せなくても、日本の地方を旅するのは大変ですか?
以前より旅しやすくなりましたが、都市部に比べると冒険の要素はまだ多いです。案内表示やアプリが役立ち、主要な町では英語が通じる場所もあります。翻訳アプリを使い、少し気長に構えていれば、旅はずっとスムーズになります。小さな町や村では英語がほとんど通じないこともあるので、交通手段は事前に計画しておきましょう。
初めて日本の地方を旅するなら、どこがおすすめですか?
日本の地方を初めて訪れるなら、日本アルプスにある高山と白川郷がおすすめです。風情ある古い町並みと、ユネスコ世界遺産に登録された合掌造りの集落を一度に楽しめます。箱根や河口湖は、東京から日帰りまたは1泊で出かけやすい場所です。
日本の地方を旅するのに、最適な時期はいつですか?
季節ごとに楽しみがあります。春は桜とみずみずしい新緑、夏はハイキングや祭り、秋は燃えるような紅葉、冬は雪景色の集落や湯けむりの立つ温泉が魅力です。全体的に過ごしやすいのは春と秋ですが、白川郷やスノーモンキーパークのような場所は、冬ならではの美しさがあります。
日本の地方を旅するには、何日必要ですか?
都市の旅に2〜3日加えて、日本アルプスや箱根・河口湖など1つのエリアを訪れるだけでも、旅の印象は大きく変わります。複数の地域をじっくり巡るなら、1週間以上あると、地方ならではのゆったりしたペースを楽しめます。
日本の田舎ではどこに泊まるのがよいですか?
伝統的な旅館や家族経営の民宿に泊まることも、旅の楽しみのひとつです。温泉があり、手作りの会席料理を味わえる宿もよくあります。小さな町では、評判のよい宿はすぐに満室になり、選択肢も限られることがあるため、早めの予約がおすすめです。
日本の田舎はお金がかかりますか?
食事や地元の宿は大都市より安く済むこともありますが、食事と温泉が付いた旅館は比較的高めです。費用を左右するのは主に交通手段です。交通の便がよい町なら電車や周遊パス、離れた地域ならレンタカーと燃料代が必要になります。